学芸員エッセイ その17「上町・小高坂の偉人達 その3」

上町・小高坂の偉人達 その3

 龍馬の生まれたまち記念館では、来年1月11日(月)まで、「偉人がいっぱい!上町・小高坂の群像展」を開催中です。当館が建つ高知市上町とそれに隣接する小高坂地域からは、坂本龍馬をはじめ数多くの幕末の志士や近現代史の偉人が輩出されています。この企画展では、同地域ゆかりの人物を、江戸から平成まで26名紹介しています。前回、前々回のエッセイでは、幕末史にかかわった人物について取り上げましたが、今回は、文化・学術に功績を残したお二人をご紹介します。

学芸員エッセイ 「上町・小高坂の偉人達 その3」①


 まずは、この『原色日本魚類図鑑』の著者・田中茂穂(たなか・しげほ)博士です。田中博士は、明治11(1878)年に上町で生まれた生物学者です。上街小学校(現・高知市立第四小学校)から高知県尋常中学校(現・追手前高校)に進んだ後、東京帝国大学理学部動物学科に入学し、魚類研究に打ち込みました。明治37(1904)年に卒業した後も大学に残って講師、助教授、教授を歴任し、数多くの研究成果を残しました。日本の魚類を初めて学問的に整理、体系づけ、約300の研究論文、約50冊に及ぶ著書を書いたその功績は、「魚類分類学の開祖」とも言われています。
 この資料は、筆者が時々行く飲食店の本棚に置いてありました。今回、お店の方のご厚意でお借りすることとなり、展示させていただいております。同著は、350種を超える魚の形状、分布、利用方法(食用など)等が細かく記載されており、田中博士の膨大な研究成果の一端を垣間見ることができます。
 田中博士の業績は、高知県出身の理系学者としては、物理学者・寺田寅彦と植物学者・牧野富太郎と並び称されることもあります。上町にこんなすごい学者がいたことをぜひ、多くの方に知っていただきたいですね。

学芸員エッセイ 「上町・小高坂の偉人達 その3」②


 もう一人は、昭和時代に活躍された漫画家・平山昌幸氏です。平山氏は、大正14(1925)年に小高坂村(現・高知市新屋敷)に生まれ、戦後は高知市内の各中学校に勤務、昭和39(1964)年から高知商業高校で化学や商業美術を教えました。その中で漫画クラブを作り、風刺やユーモアにあふれる作品を高知新聞等に投稿、同53(1978)年9月には「高知漫画集団」を結成し、その会長となっています。同57年に同校を退職した後も、社会教育関係の講師を務めながら高知の漫画文化に貢献しました。その作品は多岐にわたり、高知新聞や絵本の挿絵、村章や校章の制作にも携わっています。
 今回、平山氏のご家族の方から温かいご協力をいただき、作品の一部を展示させていただきました。独特のユーモアセンスが光る平山氏の世界観を、どうぞお楽しみください。

 龍馬などの政治的な意味で偉業を成し遂げた人物だけでなく、田中博士や平山氏のような文化・学術面で大きな役割を果たした人々もまた、間違いなく「郷土の偉人」です。こうした先人たちの業績を学び、それを語り継いでいくことこそ、現代といういずれ「歴史」の一部となる時代を生きる私たちの役割ではないかと思えてなりません。


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