【企画展のみどころ】弘瀬健太関連史料(軸装)について

公開中の史料 弘瀬健太関連史料(軸装)

 現在、企画展「群像から見る幕末史vol.3 龍馬と長州藩 時代の激流の中で」を開催中です。本企画展では、長州藩が幕末期に果たした役割を坂本龍馬と関連付けて紹介しています。今回は、企画展で公開している史料を一部ご紹介します。

 こちらは、土佐勤王党の幹部・弘瀬健太に関連する4点の史料を軸装にまとめたものです。
 ①弘瀬の没後に明治政府から遺族に贈られた「従四位」の贈位記
 ②弘瀬が長州藩士・吉田松陰の和歌を書き留めた色紙
 ③弘瀬が鎌倉時代の随筆『徒然草』の一節を写した書
 ④明治十年に高知県から弘瀬の遺族に贈られた書状―
 弘瀬健太関連史料(軸装)

 中でもご注目いただきたいのは、②弘瀬が長州藩士・吉田松陰の和歌を書き留めた色紙 です。
 「こころあれや 人の母たる人たちよ かからんことは もののふのつね」と書かれており、安政6(1859)年、幕府から弾圧を受けた吉田松陰が、江戸へと護送される際、妹たちに贈った別れの一首がもととなっています。弘瀬もまた、土佐勤王党弾圧の被害を受け、土佐藩から切腹を命じられました。弘瀬は、死を前にしてこの歌を書き写し、家族に別れを告げたのかもしれません。

 なお、松陰が妹たちに贈った歌では、最後の部分が「もののふの習(ならい)ぞ」となっているようです。「もののふのつね」との記述は、松陰の日記などに見られますが、これは限られた人物しか知りえない情報でした。もし、松陰の日記と同じ内容を弘瀬が書いたのならば、長州藩士・久坂玄瑞から土佐勤王党党首・武市半平太、もしくは龍馬経由で伝わったと考えられます。長州藩と土佐勤王党の接点を今に伝える貴重な史料といえるでしょう。

 企画展「群像から見る幕末史vol.3 龍馬と長州藩 時代の激流の中で」は、2020年2月2日(日)までの開催です。ぜひお越しください。

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企画展「群像から見る幕末史vol.3 龍馬と長州藩 時代の激流の中で」
【開催期間】開催中~2020年2月2日(日)
【開館時間】8:00~19:00(最終入館時間18:30)
【場  所】2階ふれあいホール
【入 館 料】300円(高校生以下は無料)※常設展観覧料を含む
企画展「群像から見る幕末史vol.3 龍馬と長州藩 時代の激流の中で」


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